最近YouTubeなどで目にする、ジブリ風のアニメ動画「Cocoon~ある夏の少女たちより~」。
実はこの作品、沖縄戦で実在した「ひめゆり学徒隊」をモチーフに描かれた、今日マチ子原作の漫画『cocoon』を原作としたアニメです。
2025年にNHKが制作し、終戦記念日に合わせて再放送が予定されている本作は、戦争の中で生きた少女たちの内面を静かに描いた異色の戦争アニメとして注目されています。
この記事では、「Cocoon」のあらすじや見どころ、ひめゆり学徒隊との関係、放送・配信情報までを詳しくご紹介します。
- アニメ『コクーン』とひめゆり学徒隊の深い関係
- 2025年8月の再放送・配信情報の詳細
- ジブリ風アニメで描かれる戦争と少女たちの心理
『コクーン〜ある夏の少女たちより〜』はどこで見られる?
AIでジブリ風なイラストが溢れる今、手描き中心でこのクオリティの新作アニメが見られることは本当に幸運です。
— つるj (@mashinmashin) March 30, 2025
8月のNHK総合はもちろんですが、音もかなりよかったので劇場公開、海外でも公開されてほしい#cocoon #アニメcocoon #anime
pic.twitter.com/YMAD9Rq1b8
最近SNSで話題になっているアニメ『コクーン〜ある夏の少女たちより〜』、その切り抜き映像を見て「本編をちゃんと見たい!」と思った方も多いのではないでしょうか?
けれど、調べてみると配信もDVDも見つからなくて「どこで見られるの?」と困ってしまいますよね。
ここでは、『コクーン』を視聴するための情報を、わかりやすくご紹介します。
2025年8月15日、NHK総合で地上波再放送
次に確実に見られるチャンスは、2025年8月15日(金)深夜24:35(=16日 0:35)からのNHK総合での再放送です。
終戦記念日にあわせた特別な編成になっていて、作品のテーマとも深くリンクしています。
この再放送は本当に貴重なので、ぜひ録画予約をお忘れなく!
現在はサブスク配信・DVD発売は未定
2025年5月時点では、以下のような状況です:
- DVD・Blu-ray:発売の発表なし
- Netflix・Amazonプライム・U-NEXT:配信なし
つまり、今すぐ好きな時間に見る方法は残念ながらありません。
ただし、このまま永遠に見られないわけではありません!
NHKオンデマンドやNHK+での配信可能性に注目
放送直後には、以下のNHK関連サービスでの見逃し配信に期待が持てます:
NHKオンデマンド | 公式VODサービス。過去にも戦争系ドキュメンタリーが配信された実績あり |
NHK+(プラス) | 放送後1週間限定の見逃し配信が見られる可能性 |
配信の有無は放送終了直後にNHK公式サイトで確認するのが確実です。
いま注目の作品だからこそ、今後の配信スケジュールやメディア展開にも目が離せません。
ひめゆり学徒隊と『コクーン』の関係
181号でのお題「COCOON」。夏場に放送って聞いてたけど先行でBSだと30日に放送するみたいなので録画予約する事にした。自身のチョイスの中でも稀有な部類の作品。#コマンドマガジン#COCOON pic.twitter.com/tkikJrhT8O
— 越谷公方@軍曹亭(武士ライフ) (@koshigayakubou) March 28, 2025
アニメ『コクーン〜ある夏の少女たちより〜』を観た人の多くが、「これってひめゆり学徒隊の話なのでは?」と感じるのは当然です。
実際、この作品は沖縄戦で実在した「ひめゆり学徒隊」をモチーフに制作されています。
ですが、あくまでドキュメンタリーではなく、創作としての“物語”であることにも注目して観てほしいのです。
モデルは実在の「ひめゆり学徒隊」
ひめゆり学徒隊とは、1945年の沖縄戦で動員された県立第一高等女学校と女子師範学校の女子生徒たちで構成された看護隊のことです。
彼女たちは15歳〜19歳の年齢で、戦場に派遣され、過酷な看護業務に従事しました。
解散命令のあと、行き場を失った彼女たちの多くが戦闘に巻き込まれ、136名が命を落としています。
物語はあえて“場所・時代”を曖昧にして描写
『コクーン』の中で、沖縄という地名や「ひめゆり」という言葉は一切登場しません。
それでも、「島一番の女学校」「壕(ガマ)での看護活動」「解散命令」など、史実と重なる出来事が数多く描かれています。
この曖昧さには、作者・今日マチ子さんの「これは特定の誰かの話ではなく、誰にでも起こり得たこと」という想いが込められているのです。
少女たちの心の変化を繭と蚕に重ねる構成
タイトルの「コクーン(繭)」は、まさに少女たちが持つ守られた日常=繭の中の象徴です。
そこから戦争によって繭を破られ、現実へ羽化していく少女たちの姿が、静かに描かれています。
登場人物の名前「マユ(繭)」と「サン(蚕)」は、まるで物語そのものを体現しているような存在です。
心がほどけていく繊細な時間を感じながら、ひとりひとりの選択とその重みを、観る私たちも共に見つめていくのです。
ジブリ風と呼ばれる理由と制作陣の背景
🦋先行カット公開!NHKが送る特集アニメ🐛
— NHKアニメ (@nhk_animeworld) February 14, 2025
ある夏のどこかの南の島で、少女たちに起こったことは、いつか私たちに起こることかもしれない…。制作中のアニメ「cocoon ~ある夏の少女たちより~」。3月下旬 BSで先行放送!https://t.co/zPTdV0dpAv#cocoon #今日マチ子 #満島ひかり #伊藤万理華 pic.twitter.com/XyV25CiSP4
『コクーン〜ある夏の少女たちより〜』は、初見の人から「これってジブリの新作?」と聞かれることもあるほど、どこか懐かしくて、優しい映像美を持ったアニメです。
その理由は、スタッフや演出の背景にありました。
ここでは、“ジブリっぽさ”を感じさせる要素を、具体的に解説していきます。
元ジブリの舘野仁美氏がプロデュース
まず最大のポイントは、アニメーションプロデューサー・舘野仁美さんの存在です。
彼女はかつてスタジオジブリで『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』などに携わった実力派。
ジブリ退社後に立ち上げたアニメ制作会社「ササユリ」が、本作の制作を担当しています。
舘野さんの細やかな美学と「少女たちの物語」を描く手腕が、作品全体に優しく深い空気をまとわせているんです。
作画や色彩設計、音の使い方がジブリ作品を彷彿
作中の風景は、どこか幻想的でありながらリアル。草の揺れ、光の粒、影の濃淡まで丁寧に描かれていて、まるでジブリ映画のよう。
また、爆発や流血といった戦争描写も、花びらが舞うような表現で置き換えられています。
それは、過酷な現実をそのまま突きつけるのではなく、少女たちの内面や感受性を通して描こうという意図の表れ。
音楽も、静けさの中に風や鼓動のような音が響く繊細な設計になっており、セリフが少なくても感情が伝わってくるのが特徴です。
演出の静けさと幻想性が“映像詩”と呼ばれる理由
『コクーン』はアクションや派手な演技よりも、沈黙と余白を大切にしています。
そのため、「物語を観る」というよりも、“心で感じる”体験に近いのです。
とくに印象的なのは、キャラクターの息遣いや目線の動きにまで気を配った演出。
その丁寧な表現力に、観る人の感情が自然と揺さぶられる感覚があります。
このような演出から、『コクーン』はしばしば“映像詩”とも呼ばれています。
まるで一篇の詩を読んでいるような、心に染みるアニメ体験ができるのが、この作品の最大の魅力なのです。
原作漫画『cocoon』の魅力と違い
特集アニメ「cocoon ~ある夏の少女たちより~」
— Souffle*スーフル (@Souffle_life) May 6, 2025
原作:今日マチ子『cocoon』
声の出演:満島ひかり(マユ) 伊藤万理華(サン)
監督:伊奈透光 音楽:牛尾憲輔 アニメーションプロデューサー:館野仁美
本放送:NHK 総合 8月
※放送予定は変更になる場合があります
どうぞお楽しみに!… pic.twitter.com/vOx10RDyWm
アニメ『コクーン〜ある夏の少女たちより〜』を気に入った方は、ぜひ原作漫画『cocoon』にも触れてみてください。
この作品は、漫画家・今日マチ子さんが描いたたった1冊の漫画ですが、その内容は戦争を描いた少女漫画の中でも異彩を放つほど深く、美しいものです。
ここでは、原作の魅力とアニメ版との違いをわかりやすくご紹介します。
今日マチ子による繊細で叙情的な表現
『cocoon』は、“余白”と“構図”で語る漫画です。
セリフは最小限にとどめられ、ページ全体から少女たちの心の動きや不安、希望がにじみ出てきます。
とくに、戦争という重たい題材を扱いながらも、悲惨さだけでなく、少女たちの感受性や優しさが繊細に描かれているのが印象的です。
読むたびに胸が締めつけられる、そんな静かな衝撃を与えてくれる作品です。
アニメ版との相違点は?登場人物・描写に注目
アニメと漫画では基本的なストーリーラインは共通していますが、描かれ方や登場人物の印象に違いがあります。
- アニメ版では声優の演技や音・動きが加わることで、感情表現がよりダイレクトに伝わってくる
- 原作漫画では、「読む人の想像力」にゆだねられた余韻が強く残る
- 登場人物「マユ」の設定や印象も、アニメではより深掘りされている
どちらが正解ということではなく、それぞれの表現に込められた想いを感じるのがこの作品の楽しみ方です。
マンガ版は文庫版が秋田書店より発売中
原作漫画『cocoon』は、現在以下の形で読むことができます:
単行本版 | 秋田書店/2010年刊行 |
文庫版 | 秋田文庫/2015年刊行(ISBN:978-4-253-18138-9) |
全国の書店やオンラインショップ、電子書籍ストアでも購入可能です。
アニメを観て心を動かされた方は、ぜひ原作にも触れて、少女たちの“静かな声”に耳を傾けてみてください。
ひめゆり学徒隊とは?史実としての背景
アニメ『コクーン』の世界観に触れて、「これって実際にあった話なの…?」と感じた方も多いはず。
この物語の根底にあるのが、沖縄戦で実際に看護動員された少女たち=ひめゆり学徒隊の存在です。
ここでは、創作の元となった歴史的な事実を、わかりやすくまとめてご紹介します。
15〜19歳の少女たちが看護要員として動員
ひめゆり学徒隊とは、1945年3月、沖縄戦開戦直前に動員された県立第一高等女学校と沖縄女子師範学校の女子生徒たちを指します。
年齢はおおよそ15歳〜19歳。まだ高校生にも満たない年齢の少女たちが、軍命により南風原(はえばる)の陸軍病院へ派遣され、看護活動に従事しました。
彼女たちは「学徒隊」として組織され、食事配給、けが人の手当て、壕内の掃除など過酷な任務を行っていました。
戦死136名、うち10名が集団自決
沖縄戦末期、日本軍の命令で突如、学徒隊は「解散」させられます。
行き場を失った少女たちは、激戦地を彷徨い、わずか数日間で136名が命を落としました。
そのうち、10名が荒崎海岸などで集団自決を遂げたと記録されています。
当時は「敵に捕まるくらいなら死を」と教え込まれており、手榴弾を渡された少女たちが絶望の中で選んだ行動だったのです。
現在は「ひめゆりの塔」「資料館」で追悼・継承
戦後、この悲劇を二度と繰り返さないために建立されたのが、沖縄県糸満市にある「ひめゆりの塔」です。
すぐそばにはひめゆり平和祈念資料館が併設されており、生存者の証言や当時の写真、遺品などが展示されています。
今でも多くの修学旅行生や観光客が訪れ、平和の大切さや命の尊さを学んでいます。
『コクーン』を観て心が動いた方は、ぜひこの場所を訪れて、その“現実”と向き合ってみてください。
ひめゆり学徒隊を描いた映画・アニメ一覧
ひめゆり学徒隊は、戦後日本の映像作品においても繰り返し描かれてきた悲劇的な存在です。
しかし、その表現方法は時代とともに変化し、近年ではより繊細に、そして少女たちの心の内側に焦点を当てる作品も生まれています。
ここでは、実写映画からアニメまで、代表的な作品をまとめました。
実写映画『ひめゆりの塔』『ひめゆり』
戦後初期から現代まで、ひめゆり学徒隊をテーマにした実写映画は複数存在します。
- 1953年『ひめゆりの塔』(今井正監督):モノクロの名作。戦後初の本格的な反戦映画として話題に。
- 1982年『ひめゆりの塔』(神山征二郎監督/主演:吉永小百合):広く一般に知られる感動作。
- 2007年『ひめゆり』(柴田昌平監督):ドキュメンタリー映画。生存者22名の証言を収録。
いずれも戦争の過酷さと、少女たちの生と死を描き、多くの観客に強い印象を残しました。

アニメ作品では『Cocoon』が初の本格描写
一方、アニメーションとしてひめゆり学徒隊の体験をベースに描いたのは、『Cocoon〜ある夏の少女たちより〜』が初と言える作品です。
2025年にNHKが制作・放送したこのアニメは、少女たちの内面に深く入り込み、戦争を「感じる」ことに焦点をあてています。
元ジブリスタッフが関わったビジュアルや静かな演出も相まって、まさに“映像詩”と呼ばれる新たなスタイルの作品となっています。
戦争と少女を描く作品として新たな視点を提示
従来の戦争映画が「戦闘」や「犠牲」を前面に描いてきたのに対し、『Cocoon』は少女たちの“まなざし”に寄り添う作品です。
恐怖、孤独、淡い希望──そうした感情を、花や繭、静寂で象徴的に描いていく表現方法は、これまでになかったアプローチだと言えます。
まさに『Cocoon』は、戦争を知るための作品であると同時に、“心で受け止める”ための作品でもあるのです。
『コクーン』とひめゆり学徒隊を通じて考える平和
『コクーン〜ある夏の少女たちより〜』を観終わったあと、多くの人がしばらく言葉を失います。
それはきっと、この作品がただの戦争アニメではなく、“命の重さ”や“生きる意味”を心に直接語りかけてくるからでしょう。
ここでは、そんな『コクーン』が私たちに残すメッセージと、その先にある平和への問いかけについて考えてみます。
作品が伝える“命の重さ”と“生きる決意”
『コクーン』の主人公・サンは、戦場で大切な友達を失い、逃げることもできず、ひとり壊れていきそうになります。
そんな中で彼女が最後に選んだのは――“生きる”という選択でした。
「繭が壊れて、羽化しても飛べない。だから、生きていくことにした」
この静かだけれど力強い決意は、私たち一人ひとりの胸にも残るはずです。
命とは、重くて、かけがえがなくて、簡単に語れないものなのだと、この作品は語りかけてきます。
戦争を知らない世代に届けたい物語
今の私たちは、戦争を「歴史の中の出来事」としてしか知りません。
だからこそ、言葉ではなく“感覚”で伝えてくれる作品が必要なのです。
『コクーン』は、教科書では教えてくれない、「少女たちが感じた現実」を、淡く、けれど確かに描き出します。
それはきっと、戦争を知らない私たちにとって、もっともリアルな“記憶”になるのではないでしょうか。
終戦記念日にぜひ見てほしい理由
2025年8月15日、NHK総合で『コクーン』が再放送される予定です。
この日は、日本が戦争の終わりを迎えた「終戦記念日」。
そんな日にこの作品が放送されるのは、偶然ではなく、未来の私たちに託された“記憶のバトン”なのだと思います。
何気ない日常が、どれだけ尊いか。
生きているというだけで、どれほど幸せか。
『コクーン』はそんな大切なことを、静かに、けれど深く教えてくれる作品です。
どうか、あの夏を生きた少女たちの声に耳を傾けてみてください。
『ひめゆり学徒隊とコクーン』を通して考えるまとめ
ここまで『コクーン〜ある夏の少女たちより〜』と、ひめゆり学徒隊の関係や背景、そして作品に込められたメッセージを見てきました。
事実に基づきながらも創作として昇華された『コクーン』は、ただのアニメではなく、記憶を繋ぐ物語です。
最後に、この作品が私たちにどんな視点を与えてくれるのか、改めてまとめてみましょう。
事実をモチーフにしたフィクションの力
『コクーン』は実話ではありませんが、ひめゆり学徒隊という実在の悲劇から深く着想を得た物語です。
あえて時代や地名を明かさずに描くことで、観る者の中に「自分だったらどうだったか?」という問いが生まれます。
それこそが、フィクションの持つ力なのだと私は思います。
過去をただ知るのではなく、心で“追体験”すること。
それが、記憶を受け継ぐための第一歩なのかもしれません。
作品を見た後に訪れたい「ひめゆりの塔」
『コクーン』を見て心が動いた方には、ぜひ沖縄県糸満市にある「ひめゆりの塔」と、隣接する「ひめゆり平和祈念資料館」へ足を運んでほしいと思います。
そこには、実際に命を落とした少女たちの写真、遺品、手記、そして生存者の証言があります。
「あの子たちは本当にここにいたんだ」と、肌で感じることができる場所です。
そして、命が語りかけてくる静かな展示の数々が、観たばかりの『コクーン』の余韻と重なって、心に深く刻まれるはずです。
ジブリ風アニメで学ぶ戦争の記憶と未来への想い
ジブリのような絵柄で、柔らかく、幻想的に描かれた『コクーン』。
でも、その中に込められているのは、戦争の記憶、命の選択、そして未来への願いです。
派手な演出も、激しい叫びもないけれど、だからこそ“静かな衝撃”が心に残るのです。
『コクーン』は、戦争のことを知らない若い世代にも、そっと語りかけてくれる貴重な作品。
過去と向き合いながら、未来を考えるきっかけとして、ぜひ多くの人に届けていきたいと感じます。
- 『コクーン〜ある夏の少女たちより〜』はひめゆり学徒隊をモチーフにしたNHK制作のアニメ
- 2025年8月15日(金)深夜24:35よりNHK総合で再放送予定
- 原作は今日マチ子の漫画『cocoon』で、文庫版が秋田書店より発売中
- 元ジブリの舘野仁美氏が制作に関わり、幻想的で静かな映像美が話題
- 花や繭など象徴的表現で少女たちの心の揺れを描く“映像詩”
- ひめゆりの塔や資料館と合わせて平和について考えるきっかけに